ショッピングセンター

ショッピングセンター

最近、弊社東京オフィスの方を中心に商業施設のリニューアルの依頼が増えつつある。
1960年代に日本で大型ショッピングセンターが登場して以来、約50年を経て様々なトレンドや人々のライフスタイルの激変により、ショッピングセンターの役割も大きく変わろうとしている。
単なる店舗の集積地ではなく、人々の飽くなき欲求に対応すべく、新陳代謝を繰り返しながら、そこにある意味と使命、責任をとりこみつつ、「さらなるなにか」を提供しなければ、その存在理由が問われる時代になったと言えるでしょう。

その地域地域に根ざした特色や欲求を汲み取りながら、プランニングを進め、それらを可視化していく際に、利便性や快適性、安全性はもとより「さらなる何か」を提案、提供していかなければならないのだ。
それは、人々が「今までに経験したことのない体験を提供する仕組み」や「憧れのライフスタイル牽引」、さらにプロダクトアウト的発想をもって生活者に対して「皆さんのこれからのスタイルはこれでしょう?」
または「これいいでしょう」的な投げかけを打ち出し、地域の人々と対話する商業集積地としての役割を果たさなければならなくなったと思うのです。
要するにターゲット設定したそのターゲットに対してその人々が、今までに経験したことのない体験を提供するライフスタイルを提案し、それぞれのテナント店舗との連動を果たしていくことで、そこにしかない、
ここだけの体験を提供させる必要性があるということなのです。その際に、重要になることはいうまでもなく、コンセプトである。人を惹き付ける魅力あふれるコンセプトである。しかし、言葉遊びなコンセプトであってはならない。
密度のぎっしりと詰まったわくわくするようなコンセプトが必要となるのだ。コンセプトの可視化が環境デザインであり、テナントMDになり、サイン計画、音響計画、照明計画、テナントのデザイン規制になっていくのであるから、できるだけ密度の濃いコンセプトが求められるのだ。日本人はその場の気配や空気感を敏感に感じとる人種であるから、コンセプトから、派生した気配や空気感が自身のスタイルに取り込めるかが一つの判断基準になるので、やはり明確なコンセプト産出が必須になると思うのです。

また、そのコンセプトをテナントに明確にお伝えし、ご理解をいただくことも重要になります。
リーシングを実施する際にここのところはしっかりとやっておくことも最重要課題の一つでもある。
いずれにしても今後のショッピングセンターの在り方はコモディティ化は許されず、他店との差別化や強みをはっきりと示し、ターゲットの人々との対話できる時空間創造が鍵となる。その為にもコンセプトを真に理解し、それらを共有化し、可視化してくれるテナントスキルとデベロッパースキルの同調が必要となる。
利便性と快適性、安全性をより強化しつつもニュースなファッション化をはかりつつ飽きさせない「優しさと思いやり」をもって細部に至るまで手を緩めずにプランニングしていく最初の一歩が、地域に愛されるショッピングセンターとなると思うのです。
今後、ますます熾烈を極めるショッピングセンター同士のシェアの奪い合いに勝ち残る為には「人、地域、社会との対話ができる時空間」が求められていくと思うのです。