変わろう、デザイン設計事務所

変わろう、デザイン設計事務所

昨今は売り手市場が続き、転職やスキルアップ、待遇改善、ワークライフバランスなどを理由に職を変える人が増えています。もちろん、それは正当な理由ですし、なんら問題はありません。しかし本当に転職を繰り返す人がスキルアップや待遇改善を実現できているのでしょうか。
転職を“夢への第一歩”として美化する求人広告を目にするたびに、どこか違和感を感じてしまう僕がいます。

私たちのようなデザイン設計の仕事では、クライアントの多くがオーナー様または、意思決定権を持つ方々です。そんな方々と打ち合わせをしていくには、時間をかけて信用を築いていく必要性あります。が転職のたびにその会社でまた一から信用を積み上げ直す事で時間を費やして結局”何者にもなれずに終わっていく”若者をこれまで何人も見てきました。
本人は「いろんな事務所のやり方を経験したい」と言う目的もわかりますが、毎回リセットとまでは言いませんが、少なからずその会社で信用を得る為の時間や実績が必要になるはずです。正直、その経験が本当に成長につながっているのかすら疑問を感じずにはいられません。

もっとも、これは個人だけの問題ではなく、業界全体の構造的な課題でもあります。多くのデザイン設計事務所は個人、零細・中小規模であり、人を育てる余裕がなく、即戦力を求める傾向にあります。実際に「実務経験2年以上」と掲げる求人が多く、新卒にはほとんどチャンスがないのが現状です。

だからこそ、私たちは3年前から中途採用をやめて新卒採用に特化し、人材育成に取り組んできました。その結果、今では育てた若手達がすでに第一線で活躍しています。
この経験を通じて強く感じるのは、「業界を変えるのは、私たち自身である」ということ。
デザイン設計事務所の皆さん、どうかもっと積極的に新卒者を迎え入れてください。うまく育てれば2年もすれば転職組より素直な分、戦力になっているようにすら感じます。

新卒採用されずにデザイナーの道を諦める若者も少なくありません。新卒採用は業界の未来をつくり、私たち自身の未来をも豊かにしていく第一歩になると信じています。