横断する僕の仕事

横断する僕の仕事

僕の職業は商環境デザイナーです。商環境とは文字の如く、商売をしていく上でそれらを取り巻く環境の全てを指します。20数年前に表層だけをつくり上げるデザインに限界を感じて、そこから疑問を持ち始め、デザインは何の為にあるのか?そんなことを考え始めて、20数年が経ってしまいまいました。カッコいいものをつくり話題をつくることがデザイン?儲かる為のデザイン?失敗しない為のデザイン?どれも正解のようでそうではない。
そんなしっくりこないまま自問自答を繰り返すも行き着いた答えが「関係性をつくる」でした。「関係性をつなぐ」とも言えるでしょうか。お店とそこを訪れるお客様、企業と人、地域と人、人と人を結ぶ機能と行為こそがデザインの正体ではないかと自分なりに解釈し、その為には、根底に横たわる経済というものが、しっかりと回る仕組みまでを考えることが必要だと考え始めたのです。その目的に応じた関係性を構築すること、その為に必要な経済を回すこと。それらは結局、人が介在し、人が動くことなので、その人々の行為を誘発する装置、そこに隙を見せない為の機能それら全てが、僕が目指す「デザイン」であり、これこそが僕が導き出した「デザインとは」の答えでした。
そこからは空間デザインはもちろんのこと、VMD、グラフィックやプロダクトというビジュアルから、理念、思想、商売環境ドメイン、業態進化提案、流通デザインなど一見、目には見えにくい商売を取り巻く環境そのものをデザインし可視化することを生業としてきました。だから僕はインテリアデザイナーでも、プランナーでもない、商環境デザイナーという肩書きを選びました。様々な商売環境を横断しながら、デザインを縦横無尽に横断しながら、その環境を整えていく、時に再生を繰り返していく、そんな商環境をデザインする仕事が僕の仕事です。