BAR

BAR

街の中で、ひっそりとその存在感を醸し出しているBAR。
僕はBARはその在り方が、雑誌に似ているように思う。テレビなどと違い、雑誌は他の媒体に比べ比較的に読者の層と価値観を絞り込んでいて、その雑誌の編集や着目点にそれぞれのファンが付いている。
その意味では雑誌もBARも同じように思うのである。BARは顧客のシーンによって使い分けられるものの、その多くがその店のファンに支えられている場合が多い。ダンディズムを強調したつくりとそれに見合う内容のBARもあれば、常連客がワイワイガヤガヤとその場を楽しむカジュアルなBARもある。
その店のつくりと店主の個性で、ある程度、顧客の層が決定されのである。
その意味では、他の業態より個性をより強烈に打ち出さなければならない業態だともいえる。

近年ではBAR一本で頑張っているところも少なくなったといえる。
これは、ダイニングがその役割をとりこんだり、バールがBARを飲み込んだりとBARの存在理由が曖昧になってきたからだろう。しかし、BARに対する人々の人気は依然と根強い。但し回転率や客席数の問題などで決して儲かる業態ではないことも事実である。結果、フードで売り上げをあげていかなければならなくなる。そうこうしているうちに、BARがダイニングに形を変えたり、バールに姿を変えていくという訳である。勿論、BAR一本で成功を納めておられるところも多々ある。
ドリンクだけなら人件費も抑えられるし、フードに比べて、原価率やロス率も読みやすい。
その分、利益も出しやすい場合もあるからだ。私も小さなBAR(BAR天満理容室)を天満橋で経営している。
正直、大きな儲けは見込めないが、赤字でもない。その分、価値観の似た人々から、情報という資産が蓄積されていくから、現時点では有意義であると判断はしている。

そう、BARは「情報交換の場」でもあるべきなのだ。情報が人を呼び、情報が人をつなぐ。
その意味ではBARはおもしろい。大人達の社交の場であり、情報交換の場であり、様々な出会いの場である。
それも店の個性によってセグメントされた価値観の共有層が集まりやすいBARの在り方に再注目していくと、結構おもしろいものが見えてくるかもしれない。