旅館・ホテル業界

旅館・ホテル業界

全国的にホテル・旅館の在り方が急速に見直されてきている。
いずれにも言える事は、団体客誘致を目当てとした戦略(想略)から個人客重視への視座の転換である。
特に地方都市における旅館.ホテルのそれらの動きが勝ち負けを明確に分け始めている。
従来の「大衆」をターゲットとした宴会需要だけに頼った施設は苦戦を強いられるパターンが増え、一方、個人の顧客づくりに力を入れている施設は顕著に伸びてきている。 この傾向は今後益々、活発化するだろう。
個人のホスピタリティを重視した施設は空間のデザインの見直しは勿論のこと、サービス面においても、自身の強みとはをさらに際立たせる戦略(想略)が目立つ。例えば、従来なら「何もない田舎」 だから…といっていたところが「何もないこそ魅力である」ことを全面に押し出し、 より日本の自然を堪能していただくために、テレビをあえて置かず、自然の音や景観を最大限に際立たせる手法を取り入れたりして、都会の人々をはじめ、海外からも注目を集めたりしている。施設に置いているアメニティグッズにも気を配り「かわいい」「これ欲しい」と
言わしめるデザインの施されたものを何気なく置いていたりと、細やかなところまで 一貫して気を配っている施設は、顧客から好評価を得ている。
また、その土地のバナキュラー(土着性)を全面に押し出す戦略(想略)も効果的である。 バナキュラーを無視し、「綺麗」「清潔」の名目のもと無個性に改装を繰り返し、無駄にお金を消費している割に効果が実感できないところも多く存在している。これはその土地、土地に息づく、そこならではの良さや気配、それに何が強みかを全く無視し、無個性にただ 綺麗に改装の結果である。旅は非日常を提供すべきであり、どこに行ってもあるような日常を、あえてここまで来て感じたいと思う人は稀である。そこにしかない空気感を提供する、そこに存在する生活文化を垣間みて頂く場。その入口と出口が旅館であり、ホテルの本来あるべき姿ではないだろうか?
無個性にカッコいいだけとか、無個性に綺麗ななだけの施設なら都会にいくらでもある。 そんなことではなく、もっと足下を耕作し、ここにしかない個性を見いだし空間デザインやアメニティグッズによって、それらをより際立たせることが必要になっている。

そして何より、サービスの心得をもっと深くスタッフ教育していくべきである。
ここを訪れた人々になにを感じてもらいたいのか?なにを伝えたいのか?までを考え、伝えていくことを、教育に入れていくべきである。地方にはそこに根付いている文化遺伝子が必ず存在する。その文化遺伝子を形象化し、お客様の心の襞に継承していく、それぐらいの気概と使命を持ってお客様と接することで、接客にも誇りが出て、お客様にもより深い感動を与えれるのではないだろうか。