商環境

商環境

商環境という言葉が一般的に使われ出し認知されるようになってきた。商売をしていく上で、絶対的に必要な環境、要するに場所性やROI(投資効率)、商品、R&D(商品開発)、MD(商品計画)、空間デザイン、オペレーション(接客サービス含む)、プライシング(価格想略)、
広告(HP想略、広報、パブリシティ含む)、販売促進計画、グラフィックデザインなど、これらを取り巻くマーケティング全般を総称して「商環境」というのだが、この商環境とは、上記のような部分、部分の集合体が全体を成し、それらの絶妙なバランスの上に成り立っていると考えている。
市場(生活者)から見て価格がそこそこなのに、空間がいまいちだったり、商品力が弱かったりすると、当然、お客様の心つかみ取ることはできない。当たり前のことである。しかし、市場にある多くの商環境は、以外とうまくバランスを取っているところが少ないように思う。商品も価格もいいのに空間がなんでこれ?っていうのも少なくないし、空間だけが格好良くて、中身がなんで?とか、なんでこの価格なの?というようにバランスを崩しているところが少なくない。ここで誤解していただきたくないのは、あくまでも商環境におけるバランスを言っているのであって、低価格のベタベタな空間でオペレーションも高級店のような接客がある訳でもない、そんなお店がダメといっているのではないことをご理解いただきたい。

低価格、低単価のお店ならば、それはその商環境バランスがある。
だから私達もそのような環境ならあえて、空間デザインをもっとベタべタにしましょうと、こちらからも提案をどんどんする。要するに、そこに合った立地特性や商品特性、価格等によって商環境をつり上げていくのである。
その時に全体と部分のバランスを見ながら、そこに集うであろうお客様が何を求めているのか、どんな時に使うのか、そんな心理を読み解きながら、まだ見ぬお客様との対話を重ねていき、全体の商環境バランスを保っていくのである。
少なくとも私はそうしている。それが昨今の不況によって、急激に悪化する業績を取り戻そうと、部分だけに目を奪われ、なんとかしようとして、逆に全体のバランスを崩しているお店が急激に増えてきている。そうなった店舗は一時的には、業績改善ができたとしても長くは続かないだろう。そんな場合はやはり、商環境全体をしっかりと見据えた上で、部分に目をやり、また、全体を見て、さらに部分を見るような呼吸運動的な作業を通して、優先順位をしっかりと付けてから取り組むべきだと私は考えている。
また、全体を一度バラバラにひも解き、商品は?空間は?価格は?人は?オペレーションは?販促は?など、ひとつひとつ耕作し、再構築していく作業も悪くはないと思う。その上で全体として、コンセプトがズレていなか、お客様に伝えるべき強みや想いが伝わっているのかなどの検証を含め、今、何をすべきかを考えるべきである。
その際、目玉として改装が必要であれば改装を、商品改良が必要であれば改良をすればいい。
但し、その改装や改良に伴い、その他の改良は必要ないのか?接客は?価格は?というように組み立てることで、顧客目線が自然と取り戻せるはずである。売り上げ低迷だから、改装をというような安易な考えではなく、全体の中で何が必要でそれをすることで広がる波紋のような関係をそれぞれ改善していくことが肝要である。
商環境はやはりバランスである思うので、全体を見据え、部分へ、部分から全体への視座と視点をもって今の時代を乗り切らなくてはならないのではないだろうか?